フライス加工 切削速度(Vc)計算ツール

フライス加工における切削速度(Vc)を、主軸回転速度と工具径から計算するツールです。エンドミル回転のリアルタイムアニメーションで切削速度の変化を視覚的に確認できます。

主軸回転速度(n)と工具径(D)から切削速度 Vc = π × D × n / 1000 を計算。エンドミル回転アニメーション付きの無料オンラインツール。

※ エンドミル回転の模式図(上面図)。切削速度 Vc のベクトルと回転方向を表示。スケールは誇張しています。

アニメーション

逆算この Vc での主軸回転速度

1000 × Vc(120.0) ÷ (π × D(10)) =

n = 3,820 min⁻¹

主軸回転速度(n)計算ツールで逆算 →
Vc120.0m/min= π × D × n / 1000
履歴がありません

使い方

  1. 「n 主軸回転速度」をスライダーまたは数値入力で設定します(100〜30,000 min⁻¹)。
  2. 「D 工具径」をスライダーまたは数値入力で設定します(1〜200 mm)。
  3. 右側の結果エリアに Vc の計算結果がリアルタイムに表示されます。
  4. 左側のアニメーションでエンドミルの回転の様子も確認できます。

切削速度(Vc)とは

切削速度(Vc)は、フライス加工においてエンドミル外周の周速度を表す指標です。単位は m/min で表記します。

Vc は主軸回転速度 n と工具径 D から算出します。同じ回転速度でも、工具径が大きくなると Vc は大きくなり、工具径が小さくなると Vc は小さくなります。Vc が高すぎると工具摩耗が急速に進行し、低すぎると構成刃先が発生しやすくなります。

現在の主軸回転速度と工具径から Vc を逆算することで、加工中の切削条件がカタログ推奨範囲内にあるかどうかを確認できます。条件変更時の検証にも有用です。

計算式と各変数の意味

Vc は工具の外周長(π × D)に主軸回転速度(n)を掛け、単位を合わせるために1000で割って求めます。

Vc = π × D × n / 1000

各変数の意味は以下のとおりです。

変数単位意味
nmin⁻¹主軸回転速度 ── エンドミルが1分間に回転する回数
Vcm/min切削速度 ── 工具外周の周速度
Dmm工具径 ── エンドミルの直径

n = 1000 × Vc / (π × D) と変形すれば、切削速度から回転速度を求めることもできます。工具径が2倍になると、同じ n でも Vc は2倍になります。

被削材別 Vc の目安値

以下は超硬エンドミルを使用した場合の一般的な切削速度 Vc の目安値です。コーティングや工具形状によって変動します。

被削材Vc 目安 [m/min]
アルミ合金(A5052 等)200 – 400
炭素鋼(S45C 等)80 – 150
ステンレス鋼(SUS304 等)50 – 100
鋳鉄(FC250 等)100 – 200
チタン合金(Ti-6Al-4V 等)30 – 60
銅合金(C3604 等)150 – 300

※ 上記は超硬ソリッドエンドミルでの参考値です。コーティング・刃数・切込み条件によって大きく変わるため、必ず工具メーカーのカタログ推奨値を確認してください。

ダイヤモンドコーティング工具ではアルミ合金に対して 500 m/min 以上の Vc を設定できる場合もあります。また、仕上げ加工では荒加工時よりも Vc を高く設定するのが一般的です。

実際の加工条件例

本ツールを用いた代表的な計算例を3パターン紹介します。いずれも超硬ソリッドエンドミルでの条件です。

加工内容被削材工具径Vc [m/min]n [min⁻¹]
アルミ合金の側面加工A5052φ1037712,000
炭素鋼の溝加工(荒加工)S45Cφ10943,000
ステンレス鋼の仕上げ加工SUS304φ10632,000

同じ回転速度でも工具径が異なると Vc は大きく変わります。n=3,000 min⁻¹ の場合、φ10 では Vc ≈ 94 m/min、φ20 では Vc ≈ 188 m/min になります。

切削速度と刃先温度

切削速度は刃先温度に最も強く影響するパラメータです。Vc を上げるとせん断仕事率が増大し、刃先温度が上昇します。超硬工具は約 800°C まで硬さを保持しますが、ハイス工具は 600°C 付近で急激に軟化するため、工具材種に応じた Vc 上限を守ることが寿命を決定づけます。

被削材側にも温度の影響は及びます。ステンレス鋼や耐熱合金は熱伝導率が低く、切削熱が刃先に集中しやすい材料です。こうした材料では Vc を抑えめに設定し、クーラント供給を強化することで刃先温度の上昇を緩和します。

コーティングも Vc の上限に大きく関わります。TiAlN コーティングは耐酸化温度が約 900°C と高く、高 Vc 域に強い一方、アルミ合工にはアルミとの親和性で溶着しやすいため不向きです。DLC コーティングは非鉄金属の高速加工で安定した性能を発揮します。

よくある質問

切削速度(Vc)とは?
エンドミル外周の周速度のことです。Vc = π × D × n / 1000 で計算します。工具メーカーが推奨する Vc 範囲内で加工することが工具寿命と加工品質の両立に重要です。
Vc が高すぎるとどうなる?
工具の摩耗が急速に進行します。特に超硬工具では熱摩耗が顕著になり、工具寿命が著しく短くなります。チッピングや欠けの原因にもなります。
Vc と n の違いは?
Vc は工具外周の速度(m/min)、n はエンドミルの回転数(min⁻¹)です。同じ n でも工具径が変われば Vc は異なります。Vc = π × D × n / 1000 の関係にあります。
このツールのアニメーションは何を表している?
エンドミルの回転とトロコイド軌跡を上面図で表示しています。切削速度 Vc のベクトル矢印と回転方向で、加工の様子を視覚的に確認できます。
Vc がカタログ推奨値を超えている場合は?
主軸回転速度 n を下げるか、工具径を小さくして Vc を下げます。Vc が推奨範囲を超えたまま加工すると、工具寿命の低下や加工品質の悪化を招きます。
工具径が大きいと Vc はどうなる?
工具径が大きいほど同じ n でも Vc は大きくなります。例えば n=3,000 min⁻¹ の場合、φ10 では Vc ≈ 94 m/min ですが、φ50 では Vc ≈ 471 m/min になります。
Vc が低すぎるとどうなる?
切削ではなく押しつぶし(塑性変形)が主体になります。構成刃先の発生や仕上げ面品質の低下を引き起こし、工具寿命にも悪影響を与えます。

フライス盤 主軸回転速度(n)計算ツール

切削速度から主軸回転速度を求めるには n 計算ツールをご利用ください。Vc 計算の逆算に相当します。

フライス加工 主軸回転速度計算

フライス盤 vf計算ツール

切削速度を確認したら、テーブル送り速度(vf)の計算に進みましょう。

フライス加工 テーブル送り速度計算