フライス加工 主軸回転速度(n)計算ツール
フライス加工における主軸回転速度(n)を、切削速度と工具径から計算するツールです。エンドミル回転のリアルタイムアニメーションで回転数の変化を視覚的に確認できます。
切削速度(Vc)と工具径(D)から主軸回転速度 n = 1000 × Vc / (π × D) を計算。エンドミル回転アニメーション付きの無料オンラインツール。
※ エンドミル回転の模式図(上面図)。回転方向の矢印と回転速度 n を表示。スケールは誇張しています。
使い方
- 「Vc 切削速度」をスライダーまたは数値入力で設定します(10〜500 m/min)。
- 「D 工具径」をスライダーまたは数値入力で設定します(1〜200 mm)。
- 右側の結果エリアに n の計算結果がリアルタイムに表示されます。
- 左側のアニメーションでエンドミルの回転の様子も確認できます。
主軸回転速度(n)とは
主軸回転速度(n)は、フライス加工においてエンドミルが1分間に回転する回数を表す指標です。単位は min⁻¹(毎分回転数)で表記します。
n は切削速度 Vc と工具径 D から算出します。同じ切削速度でも、工具径が大きくなると n は小さくなり、工具径が小さくなると n は大きくなります。これは外周の周速度を一定に保つためです。
工具メーカーのカタログには被削材・工具材種ごとの推奨切削速度 Vc が掲載されています。この Vc と使用する工具径 D を本ツールに入力すれば、NC プログラムに指令すべき主軸回転速度 n を求められます。
計算式と各変数の意味
n は切削速度(Vc)を工具の外周長(π × D)で割り、単位を合わせるために1000を掛けて求めます。
各変数の意味は以下のとおりです。
| 変数 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|
| n | min⁻¹ | 主軸回転速度 ── エンドミルが1分間に回転する回数 |
| Vc | m/min | 切削速度 ── 工具外周の周速度 |
| D | mm | 工具径 ── エンドミルの直径 |
Vc = π × D × n / 1000 と変形すれば、回転速度から切削速度を逆算することもできます。工具径が半分になると、同じ Vc を得るために n は2倍必要になります。
被削材別 n の目安値(φ10 換算)
工具メーカーのカタログでは推奨値が Vc(切削速度)で掲載されている場合が多く、n = 1000 × Vc / (π × D) で換算した際の参考として下表を用意しています。下表は φ10 エンドミルを使用した場合の n 目安値です。
| 被削材 | Vc 目安 [m/min] | n 目安 [min⁻¹](φ10換算) |
|---|---|---|
| アルミ合金(A5052 等) | 200 – 400 | 6,366 – 12,732 |
| 炭素鋼(S45C 等) | 80 – 150 | 2,546 – 4,775 |
| ステンレス鋼(SUS304 等) | 50 – 100 | 1,592 – 3,183 |
| 鋳鉄(FC250 等) | 100 – 200 | 3,183 – 6,366 |
| チタン合金(Ti-6Al-4V 等) | 30 – 60 | 955 – 1,910 |
| 銅合金(C3604 等) | 150 – 300 | 4,775 – 9,549 |
※ 上記は超硬ソリッドエンドミル φ10 を使用した場合の参考値です。工具径が異なる場合は n = 1000 × Vc / (π × D) で換算してください。コーティング・切込み条件によっても大きく変わるため、必ず工具メーカーのカタログ推奨値を確認してください。
ダイヤモンドコーティング工具ではアルミ合金に対して 500 m/min 以上の Vc を設定できる場合もあります。また、仕上げ加工では荒加工時よりも Vc を高く設定するのが一般的です。
工具径別の回転速度 計算例
同じ被削材・同じ切削速度でも、工具径が変わると必要な回転速度は大きく異なります。以下に工具径を変えた3パターンの計算例を示します。
| 加工内容 | 被削材 | 工具径 | Vc [m/min] | n [min⁻¹] |
|---|---|---|---|---|
| アルミ合金の仕上げ加工 | A5052 | φ6 | 300 | 15,915 |
| 炭素鋼の側面加工 | S45C | φ10 | 120 | 3,820 |
| 炭素鋼の溝加工(荒加工) | S45C | φ20 | 100 | 1,592 |
同じ切削速度でも工具径が異なると n は大きく変わります。φ10 では n ≈ 3,820 min⁻¹ でも、φ20 なら n ≈ 1,592 min⁻¹ になります。
回転速度と安定限界
主軸回転速度には、工具やワーク系の固有振動数との兼ね合いでびびり振動が起きやすい領域と安定する領域があります。この境界を図示したものが安定限界線図(SLD: Stability Lobe Diagram)で、回転速度を少し変えるだけで切込み限界が大きく変わることがあります。
高速回転では遠心力によって工具のふれ(振れ回り)が拡大し、加工精度と工具寿命に影響します。BT30 シャンクで n > 20,000 min⁻¹ を超える領域ではホルダのバランス等級(G2.5 以下)やシュリンクフィットが使われるケースが多くなります。
機械側の制約も見落とせません。主軸モータにはトルク一定領域と出力一定領域があり、低回転ではトルクが足りても高回転では出力上限に達することがあります。重切削で n を上げる場合は、主軸出力線図を確認してトルク不足にならないか事前に確認しておくと安心です。
よくある質問
- 主軸回転速度(n)とは?
- エンドミルが1分間に回転する回数のことです。n = 1000 × Vc / (π × D) で計算し、NC加工の S コードに指令します。
- n を上げすぎるとどうなる?
- 切削速度 Vc が高くなりすぎ、工具の摩耗が急速に進行します。特に超硬工具では熱摩耗が顕著になり、工具寿命が著しく短くなります。
- n と Vc の違いは?
- Vc は工具外周の速度(m/min)、n はエンドミルの回転数(min⁻¹)です。同じ Vc でも工具径が変われば n は異なります。n = 1000 × Vc / (π × D) の関係にあります。
- このツールのアニメーションは何を表している?
- エンドミルの回転とトロコイド軌跡を上面図で表示しています。回転方向の矢印で回転の向きを、回転速度に応じた動きで n の大小を視覚的に確認できます。
- 機械の最高回転数を超えた場合は?
- 計算上の n が機械の最高回転数を超える場合は、工具径を大きくするか、切削速度 Vc を下げて調整します。無理に回転数を上げると主軸ベアリングの寿命低下につながります。
- 工具径が小さいと n はどうなる?
- 工具径が小さいほど n は大きくなります。例えば φ1 のエンドミルで Vc=100 m/min の場合、n ≈ 31,831 min⁻¹ となり、高速主軸が必要になります。
- n が低すぎるとどうなる?
- 切削速度 Vc が不足し、切削ではなく押しつぶし(塑性変形)が主体になります。構成刃先の発生や仕上げ面品質の低下を引き起こし、工具寿命にも悪影響を与えます。
フライス盤 vf計算ツール
主軸回転速度を決めたら、次はテーブル送り速度(vf)の計算に進みましょう。
フライス盤 fz計算ツール
1刃当たり送り量(fz)の計算・確認にご利用ください。
切削速度(Vc)計算ツール
主軸回転速度と工具径から切削速度 Vc = πDn/1000 を求めるツールです。n計算の逆算に相当します。