ばね定数・たわみ計算ツール|バネ定数・たわみ・応力

ばねのバネ定数とたわみ量を計算するツールです。横弾性係数、線径、コイル平均径、有効巻数の4項目からバネ定数 k = Gd⁴/(8D³n) を算出し、荷重を入力するとたわみ量 δ = F/k を計算します。入力に応じてバネの形状がリアルタイムに変化する図も表示されます。

横弾性係数・線径・コイル平均径・有効巻数からバネ定数を算出し、指定荷重に対するたわみ量とせん断応力を計算する無料オンラインツール。

GPa
mm
mm
mm
N
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使い方

  1. 横弾性係数 G を入力します。ピアノ線なら78.5 GPa、ステンレス鋼なら69 GPa が目安です。
  2. 線径 d、コイル平均径 D、有効巻数 n、自由長 L₀ を入力します。
  3. 荷重 F を入力すると、バネ定数 k、たわみ量 δ、荷重時のコイル体長が計算されます。
  4. ダイアグラムがリアルタイムで変化し、バネの変形を確認できます。

バネ定数とは?

バネ定数(ばね定数)とは、ばねに1 mm(または1 m)の変位を与えるのに必要な力の大きさです。フックの法則 F = kδ において比例定数 k がバネ定数にあたります。単位は N/mm や N/m で表されます。

コイルばねのバネ定数は、材料の横弾性係数 G、線径 d、コイル平均径 D、有効巻数 n の4つのパラメータで決まります。

G を MPa で代入する場合(教科書での標準形)

k = G·d⁴ / (8·D³·n)

横弾性係数 G の単位が MPa(= N/mm²)の場合、そのまま代入すれば k の単位は N/mm になります。

G を GPa で代入する場合(本ツールの入力形式)

k = G'·10³·d⁴ / (8·D³·n)

G' の単位が GPa の場合は 1 GPa = 10³ MPa の換算が必要で、分子に 10³ を掛けます。本ツールではこの変換を内部で自動処理しています。

  • k [N/mm] : バネ定数 k
  • G [MPa] : 横弾性係数(MPa = N/mm²)
  • G' [GPa] : 横弾性係数(GPa)── 本ツールの入力単位
  • d [mm] : 線径 d
  • D [mm] : コイル平均径 D
  • n : 有効巻数 n

この式から、線径を太くするとバネ定数は4乗で急激に増加し、コイル平均径を大きくするとバネ定数は3乗で急激に減少することがわかります。

たわみ量はフックの法則 δ = F/k から求められます。荷重 F が決まればバネ定数 k で割るだけで伸び量がわかるため、設計時に必要なストロークから線径やコイル径を逆算できます。

せん断応力とは

コイルばねに荷重がかかると、線材の断面にはせん断応力が発生します。せん断応力はばねの強度評価で最も基本的な指標であり、許容応力を超えるとばねは永久変形や破損に至ります。

ばねのせん断応力は荷重・コイル平均径・線径の3つのパラメータから計算できます。線径が小さいほど、またコイル平均径が大きいほど応力は高くなります。

せん断応力の計算式

コイルばねの基本せん断応力は、以下の式で求められます。

τ = 8FD / (πd³)
  • τ [MPa] : せん断応力 τ
  • F [N] : 荷重 F
  • D [mm] : コイル平均径 D
  • d [mm] : 線径 d

ワール補正係数と修正せん断応力

実際のコイルばねでは、コイル内側に応力が集中します。この応力集中を考慮する補正係数がワール補正係数 K です。バネ指数 c = D/d を用いて次式で求められます。

K = (4c − 1) / (4c − 4) + 0.615 / c

ワール補正係数を基本せん断応力に掛けたものが修正せん断応力 τ' です。

τ' = K × τ

バネ指数 c が小さい(線径に対してコイル径が小さい)ほど補正係数は大きくなり、コイル内側の応力集中が厳しくなります。疲労強度の評価には、この修正せん断応力を用いるのが一般的です。

ばね設計の注意点

バネ定数を求めたあと、実際にばねを選定・設計する際には以下のポイントも合わせて確認すると安心です。

バネ指数とワール補正係数

バネ指数 c = D/d は、ばねの巻き形状を表す指標です。c が小さすぎるとばねを巻く加工が難しくなり、大きすぎると巻き形状が不安定になります。

JIS B 2704「圧縮及び引張コイルばね-設計・性能試験方法」では、製造面で c = 4〜22、機械設計では c = 6〜12 が適正範囲とされています。

バネ指数が小さい(線径に対してコイル径が小さい)と、コイル内側に応力が集中します。応力集中が大きくなると、その部分から疲労破壊やへたり(永久変形)が起きやすくなります。これを定量的に評価するのがワール補正係数 K で、バネ指数 c から K = (4c − 1) / (4c − 4) + 0.615 / c で求めます。計算上のせん断応力にこの K を掛けた値が修正せん断応力で、許容応力と比較して安全性を確認します。

材質と横弾性係数

ばね材料の横弾性係数はバネ定数に直接影響します。使用環境(温度、腐食、磁性)に応じて適切な材料を選定してください。以下の値は JIS B 2704 の付表に基づく代表値です。

材料横弾性係数 G [GPa]
ピアノ線(SWP)78.5 GPa
硬鋼線(SWC)78.5 GPa
ステンレス鋼線(SUS304)69 GPa
りん青銅線42 GPa
ベリリウム銅線48 GPa
インコネル X-75079 GPa

疲労寿命

繰り返し荷重を受けるばねでは疲労破壊に注意が必要です。最大せん断応力を材料の許容せん断応力以下に抑え、ショットピーニングなどの表面処理で疲労強度を向上させることが有効です。ばねではフック根元に応力が集中しやすいため、フック形状の選定も重要です。ショットピーニングの仕組みについては、下記「よくある質問」の「ばねの疲労寿命を伸ばすには?」をご覧ください。

ばねの計算例

ばねは復元力で部品を引き戻す用途に広く使われています。以下は材料の物性に適した用途を想定した計算例です。ピアノ線は高強度が求められる機械部品に、ステンレス鋼線は耐食性が求められる屋外環境に、りん青銅線は非磁性・導電性が求められる電子機器にそれぞれ適しています。

用途材料G [GPa]d [mm]D [mm]nk [N/mm]
機械部品の復帰ばねピアノ線(SWP)78.5440500.79
屋外機器のばねステンレス鋼線(SUS304)691.612152.18
電子機器内のばねりん青銅線42650202.72

上記は本ツールでの計算例です。実際の材料選定は使用環境(温度、腐食、磁性など)に応じて検討してください。

よくある質問

バネ定数の計算式は?
ばねのバネ定数は k = Gd⁴/(8D³n) で求められます。G は横弾性係数、d は線径、D はコイル平均径、n は有効巻数です。
横弾性係数とは?
横弾性係数(剛性率)は材料のせん断変形に対する剛さ(こわさ)を表す物性値です。ピアノ線で約78.5 GPa、ステンレス鋼で約69 GPa です。
コイル平均径とは?
コイル平均径はバネの外径と内径の平均で、D = (外径 + 内径) / 2 で求められます。外径から線径を引いた値とも等しくなります。
有効巻数の数え方は?
有効巻数はバネのたわみに寄与する巻数で、総巻数から座巻数を引いた値です。ばねの場合、フック部分を除いたコイル本体の巻数が有効巻数です。
引張ばねと圧縮ばねの違いは?
引張ばねは引っ張り荷重に抵抗するばねで、コイル端にフックを持ちます。圧縮ばねは押し込み荷重に抵抗するばねで、コイル端が平面に研削されています。基本的なバネ定数の計算式は同じですが、引張ばねにはフック部の応力集中や初張力を考慮する必要があります。
バネ指数(D/d)の適正範囲は?
バネ指数 c = D/d は4〜22の範囲が製造上の適正範囲とされています。c が4未満ではばねを巻く加工が難しくなり、22を超えると巻きが不安定になります。機械部品では6〜12程度が多く使われています。
ばねの疲労寿命を伸ばすには?
ショットピーニングは、小さな鋼球をばね表面に高速で打ち付ける加工法です。打ち付けられた表面には圧縮方向の残留応力(表面圧縮残留応力)が生まれます。疲労破壊は引張応力によって表面の微小な亀裂が広がることで起こりますが、表面にあらかじめ圧縮応力がかかっていると亀裂の発生・進展が抑えられるため、疲労寿命が向上します。そのほか、バネ指数を適正範囲(4〜12程度)に設計して応力集中を抑えること、最大せん断応力を許容せん断応力の60〜80%以内に抑えることも有効です。

ギア比・平歯車計算ツール

機械設計ではばねとともに歯車の選定も重要です。ギア比や歯車の諸元を計算するツールもご利用ください。

ギア比・平歯車計算